「そういえば、シルクの他にエアリアルやらないの?」
エアリアリストは複数のジャンル(フープやキューブ、スリング等)を同時にしていることが多い為、私も訊かれます。
例えば、こちらはエアリアルフープ。
体験させて頂いた時の写真ですが、その名の通り輪っかを使うもの。
シルクは特に環境の条件が限られる為、他のジャンルを選んだほうが効率よく出演ができます。
そんな事情もあって、元々シルクを専門にしていた人も他ジャンルの習得を始める人もいるのだとか。
それは賢い選択だと思います。柔軟に対応できるのはパフォーマーとして大切なことです。
しかし、私は他ジャンルも試してみることに心の抵抗が生まれていました。
私が凝り性なのもあるのですが……その理由を言葉にしてみます。
目次
- 特殊な身体の使い方
- 布一枚であらゆるものを表現出来る
- 布と一体化する不思議な感覚
特殊な身体の使い方
私は少ないながらポールダンスの経験もありますが、比較するとあまり筋力を必要としない印象です。
それどころか柔らかいものを扱う為、力の入れ具合が露骨に出ます。
見せ方にルールはありませんが、「力を入れることを最小限に留めて自らの身体が浮いているように見せる」ことが要です。
とてもファンタジーですね。夢があります。
よって、他のどのエアリアルよりも繊細さに特化しているのも素敵です。
布が揺れにより、身体の動きに対して更に感情表現が加わることもあります。
そこで、このように問われることがあります。
「スリング(エアリアルハンモック)」はしないのか?と。
わかります……
スリングのほうが天井低い場所に強いので、そう問いたい気持ちはわかります。
それでもシルクを好む理由は次です。
布一枚であらゆるものを表現出来る
こちらの画像をご覧ください。
体重を預けていて伸びている上部を「ポール」、遊ばせている下部を「テール」と呼びます。
このテールが変幻自在なのです。
蝶々のような羽になったり。
布にまっすぐ垂れ下がっているのも絵画的だと思います。
複雑に絡まった様子も囚われているようで大変良いですね。
自画自賛!
しかし「ひらひらした小道具を使って他ジャンルに挑むのもアリなのでは?」と突っ込まれてしまいそうではあります。
まだまだ理由はあるのです。
布と一体化する不思議な感覚
柔らかい布に脱力しながら身体を預けることになる為、安心感が芽生えてきます。
もちろん不安定なので最初は怖いのですが、身体が慣れていくにつれて、布を信頼するようになります。
そこで、あたかも布と身体が一体化しているような不思議な錯覚に陥ることがあるのです。
布は生き物のように気まぐれな所があります。
時に身体に絡みついたりして、思い通りになってくれない時もあります。
おそらく私のコンディションの問題なのですが。
しかしそんなことすら愛おしく思います。
これまでショーを終えた後に言われて嬉しかった言葉のひとつに「布との関係性が見えた」というものがありました。嬉しい。
最後に
さて、これが私がシルクのみを続けている理由です。
これの他にも「技のバリエーションが豊富」「見せ方のアレンジ自在」「その人の好みや性格が如実に出る」等あるのですが…
ひとつのものを深堀りして価値を見出すのが素敵!という私の価値観が真っ先にあります。
人それぞれで、良いじゃない。
それでは。