「エアリアルシルクやってます」と話したり、ショーの後に感想を頂いたりする度に、時々「それ、ちょっと違うなぁ……」と思うことがあります。
まだまだ知られていない分野だからこそ、ちょっとした誤解はつきものです。
(私も未知の世界のことはよく誤解するので、わかります)
しかし実は、こんな真実があるんだよ!!!という話をさせて頂きます。
きっと、シルクを鑑賞することがもっと楽しくなることでしょう。
目次
- 「エアリアルシルクって、ヨガでしょ?」
- 「腕の力で支えているの?」
- 「シルクってことは、この布は絹?」
「エアリアルシルクって、ヨガでしょ?」
これはとてもよく言われることですが、実は明確な違いがあります。
まず、エアリアルシルクについて。
元々はサーカスで披露される曲芸の一種で、フランスで誕生しました。
1か所の吊り点に2枚の布を垂らした状態で、身体に巻き付けて使います(正しくは1枚を真ん中で折り返して吊っています)。
目的は、エンターテイメントです。
続いて、エアリアルヨガについて。
昨今のフィットネスブームから、ニューヨークで誕生しました。
つまり、こちらが後発です。
布をループ状にして、身体を引っかけて使います。
基本的には2か所で吊ります。
目的は、健康増進です。
このように違いはあるのですが、以下のように似ている部分はあります。
どちらも、使用する布はほぼ同じものです(後で書きますが、素材は2種類あります)
そして実は、今ではどちらもダンスの派生としても表現されています。
エアリアルヨガをダンスとして用いる際は、「エアリアルハンモック」と呼ばれます。
その際、吊り点は1か所です。
ポールダンスのレッスンスタジオに、エアリアル用の吊り点が併設されていることが多いです。
ご興味を持たれた方は、遠慮せず是非に!
「腕の力で支えているの?」
ショーが終わった後、主に男性から訊かれることが多いです。
皆、筋肉がお好きなのですね!
良いことです。
なんやかんやで、このサイトで何度もお話している気がするのですが、実は逆なのです。
※あくまでルールではありません。
色んな見せ方があり、それらが全て正解だと思っています。
今回はちょっとロジカルにお話してみます。
腕のような末端の小さい筋肉を使うと、そもそも効率がよろしくありません。
腹筋や背筋といった、体幹の大きな筋肉を使います。
前者のような小さい筋肉でシルクに登ったり逆さになったりすると、パワーもその分小さくなる為、ギリギリの力任せに見えてしまいます。
その様子だと美しくないのはもちろんですが、すぐに疲れてしまいます。
しかし体幹を中心に使うことによって安定感が生まれ、さほど力を使わなくても空中で動けるのです。
一番使うスキルが体重移動、そしてバランス感覚。実は、筋力よりもテコの原理に似たコツを使います。
そもそもシルクは不安定で柔らかい材質。
力任せにすると、バランスが崩れてしまいます。
演ってラクして観て美しい。
最高です。
「シルクってことは、この布は絹?」
語源については私も「絹じゃない?」勘違いしていたのですが、これは間違いらしいのです。
「シルク」はフランス語の「Cirque」、サーカスという意味です。
でもスペルは「Aerial Silk」。何故でしょうか、これは正直わかりません。
因みに、別名として「Tissue(ティシュー/織物)」と呼ばれます。
「Ribbon(リボン)」とも呼ばれるようです。可愛いですね。
さて、本題である「絹じゃない、素材について」。
日本では「エアリアル用」としては売られていないのですが、大きな生地屋さんで「ポリエステルスムース」という名称のものが購入出来ます。
つまり、化繊です。
海外だとエアリアル用のものがあり、主にナイロン素材が多いようです。
ポリエステルはマットで少し厚手。
伸びが良く、巻かれた時に気持ち良いのです。
その気持ちよさで私はハマったのもあります。
レッスンスタジオでも使われているのがポリエステルなので、馴染みのある素材です。
ステージ現場での据え置きシルクでもこの素材が使われています。
一方、ナイロンは艶があり、薄くて広げると透けます。
なのに耐久性はしっかりあります。
あまり伸びない為、少し痛いのですが扱いやすいです。
(私は伸びないほうが演りやすいと思う派です)
軽くふわりと広がるのが綺麗です。
私は今はナイロン製を愛用しています。
どちらも体重をかけた時に伸びると細くなる為、たまに
「それ、紐?」
と聞かれます。
個人的にそのような見方をされると謎の悲しさを覚えます。
布です。
布。
ヒラヒラ感がチャームポイントなので、是非とも布として認識して頂きたいのです。
最後に
一通り、誤解を解いてみました。
知識が深まれば楽しさもいっそう、深まるものです。
もし、何処かでエアリアルシルクをご覧になった際は、是非この記事のことを思い出してみてくださいね。
そして悦に入りましょう。
私は皆様のエアリアル鑑賞ライフを応援致します。
それでは。